2014年6月9日月曜日

オーチャード和食の聖地マンダリンギャラリーで、ゴージャスなおまかせお寿司 はし田(2)

はし田では、お昼は80ドル、120ドル、250ドルの三種のコース、夜は300ドル〜500ドルのおまかせか300ドルの鉄仙コース、というすべてコースの仕立てとなっている。この夜はおまかせメニュー。主催者のご厚意を有り難く頂戴する。


大ぶりのシャキシャキしたガリが出てきた。甘さ控えめでさっぱりしていて、日本酒が進む。


世界無形文化遺産の名に相応しい、華麗な食の舞台がここから始まる。美しい包丁さばきに見とれる。見せる厨房の真骨頂。


「ブログに載せるかもしれませんが、いいですか?」との問いに、「いいですよ!」と、にっこり。真剣な顔もですが、笑顔もステキです。


並べられた寿司下駄に丁寧にお寿司が並べられていく。これぞ手仕事の極み。


まずは白身魚と貝の一皿目。寿司職人の皆さんは英語も堪能で、一つ一つ寿司ネタを英語で解説された。


おもむろにマグロのブロックが登場。選抜きの部位に包丁が入れられる。


待ちきれない客に笑顔で答える佐藤さんと中川さん。


二皿目。


見て欲しい、この真ん中に燦然と輝くトロ様を!


この姿はまさに「肉質がとろりとしているから」という語源を体現している。一口で食べるこの刹那に、体が持つ感覚のすべてを集中する。
「う、うまい! おかわりっ!(ないです)」

はし田のおまかせはここでは終わらない。


畳み掛けるようなゴージャスさ。それと対照的な器の渋さに注目。
贅を凝らした食事の後は、貝のお味噌汁がお腹に優しい。


そしてお新香で口の中を整える。


デザートでフィニッシュ。日本産のメロンとイチゴは格別に甘く、海外からの客人が驚いていた。シンガポールでは日本産のフルーツは高く普通では手が届かない。汁が滴り落ちるようなメロンにここぞとばかり舌鼓。


本格的な寿司が初めてだったイタリアの客人たちも、すっかり寿司の虜になったようだ。ミラノでは和食がブームらしく、このような高級寿司店も近いうちに現れるかもしれない。コースを楽しみながら話に花が咲き、いつのまにか残っているのは私たちだけ。


ディナーの翌日はイベントのリハーサル。楽しく美味しいひと時の余韻を残しつつの散会となった。

余談だが、このイベントとは、あるイタリアの若きクラシック作曲家のシンガポール初リサイタル。彼と、バイオリンの聖地クレモナで奮闘する若き日本人バイオリン職人、そして彼らに共感した第一線の弦楽奏者たちやパトロンが集まって、手作りのリサイタルを開いたという訳だ。関係者全員の熱意が実り、リサイタルは大成功のうちに終わった。この若い作曲家もバイオリン職人も、伝統を愛しその伝統を次世代に受け継ぐために、様々な新しい試みに挑戦している。シンガポールで働く和食の職人たちにも通じるものがあるのではないだろうか。

普段使いは難しいが、大切な人と特別な時間を過ごすために、また訪れたい店である。
いやむしろ、一人で美味しいものを食べたい時に行きたい店である。

特別なお食事と時間をありがとうございました。
ごちそうさまでした!(次はマカロン!)

はし田
333A Orchard Road
#02-37 Mandarin Gallery
Singapore 238897
http://hashida.com.sg/


リハーサルのワンシーンより

2014年6月8日日曜日

オーチャード和食の聖地マンダリンギャラリーで、ゴージャスなおまかせお寿司 はし田(1)

オーチャード通りにある百貨店、高島屋の隣にあるマンダリンオーチャードホテル。そのホテルに隣接する商業施設マンダリンギャラリーの2階に、寿司のはし田がある。

当地に来てまだ1年だが、築地の本店は開業から47年という老舗だ。


日本では桜満開の季節に訪れた。七五三縄が玄関を飾っている。


ひとたび店内に入ると、そこは和の小世界。仄かに灯る行灯が、客の足元を優しく照らす。


寺社の境内に迷い込んだような。


あるイベントを直前に迎えた夜、関係者たちが主催者のご厚意で食事会に招かれた。イギリス、イタリアから合流した関係者と、ロシア、日本の関係者が集まり、シンガポールらしい国際的な集いとなった。本格的な寿司は初めてという人が3名ほど。気に入ってくれるだろうか。

まずは着物姿の仲居さんが注ぐお茶を。イタリアからの客人は仲居さんの動作を楽しそうに眺めている。中居さんが恥ずかしげな仕草をするのを眺めるのも楽しいらしい。


ビールとともに供された先付は、雲丹と稲庭うどん。


桜の蕾がついた枝に「うわぁ」と歓声があがる。同席している日本人のほとんどは今年の桜の季節を見逃しているから、感慨もひとしおだ。触れたり匂いを嗅いだりしながら、各々日本の桜を思い浮かべる。


この夜私たちを担当してくださった佐藤さんが山葵を磨り下ろすお姿をパチリ。「海外のお客様は私どもの色んな動作を写真に収められるのですよ。どこで公開されているかと思いますと・・・」と苦笑いされていた。


お刺身は、築地から週4日空輸で運ばれる。美味しさもさることなが、盛りつけが美しい。


ビールも飲み干したころ、主催者の方が、そろそろ日本酒でも飲みましょうか、とお酒を促してくれた。お店に勧めて頂いた富山のお酒「満寿泉(ますいずみ)」の純米大吟醸を。


ガラスのお銚子が美しい。柔らかな味で、日本酒ビギナーの方でも飲みやすい。


そして鰻の白焼きと蒲焼きの二種を。笹の葉に包まれているのが粋。それぞれの薬味を載せて、海苔に巻いて食べる。素手も使ってみんなで楽しく頂いた。


少しこのお店の話をすると、このお店を切り盛りされるのは、はし田の二代目、橋田健二郎氏。35歳の若さだが、14歳から一代目のお店を手伝っていたということだから、寿司を握ってもう20年になる。エコール辻東京で様々な調理技術を身につけた彼が作るお菓子、マカロンも有名だ。残念ながら今回のコースではありつけなかった、はし田風マカロンはこんなにも和風で繊細なのである(写真はし田ウェブサイトより)。


そろそろ真打ちの登場か・・・というところだが、今回はとりあえずここまで!
どんなお寿司が出るのか、楽しみ〜。


はし田
333A Orchard Road
#02-37 Mandarin Gallery
Singapore 238897
http://hashida.com.sg/


金運招福の絵馬で、縁起をおすそ分け!

2013年3月11日月曜日

ビルの一角に広がるコロニアル調の優雅なカフェ PS. Cafe @ Palais Renaissance

タクシーで初めて「パレ・ルネッサンスに行ってください」と言う機会に巡り合った。
そしてやはり、運転手に「オーチャードタワーの隣のビルか?」と聞かれた(笑。
久しぶりに会う男友達とのディナーで、彼が指定してきたのが、「パレ・ルネッサンスのPS. Cafe」。男友達は多いが、あの界隈でPS. Cafeを指定してくるのは彼くらいだろう。

の整えられたヘアースタイル丁寧に磨かれた爪、鍛え上げられた腹筋、Club 21で買い揃えたワードローブ、待ち合わせはお洒落なカフェ、そして女性の気持ちをとことん理解してくれるその性格・・・、「こんな男が彼氏だったらいいのにな~」と思う彼は、女性を恋愛対象としない世界の住人である。




当店のあるパレ・ルネッサンスは築1993年の老舗ショッピングモール。2009年に世界初の建築技術も取り入れた大規模の外装工事を行ったが、IONなどの新しい施設に圧され気味だ。それゆえ人気のPS. Cafeの出店は、彼らの存在感の向上に一役買っている。

店内に入るとこのエントランスからは想像できないほど広々としたコロニアル調の空間が。





ビルの裏手にある車寄せにはこんな螺旋階段がある。これもPS.Cafeにつながっている。





店内のテラスのような空間にテーブルを取った。あたかも屋外にいるかのように背の高い木々が植えられ、これがパレ・ルネッサンスの2階だとは俄かに信じがたい。本来は木々の背後にあるシェードを全部ロールアップした解放感たっぷりの空間、残念ながら土砂降りにて閉め切ってある。

この夜は私の愛しきゲイ友と、バルセロナからはるばる遊びに来た共通の友人、そして息子との4人での楽しい宴となるはずであった・・・が、このゲイ友が二日酔い、バルセロナが病み上がりと、結局お酒を飲めるのが私くらい。まあ、いいかと気を取り直して、キールロワイヤルを。





息子はミルクシェイク。PS. Cafeのミルクシェイクは絶品だ。




PS. Cafeとは、パラゴンのProjectShopというセレクトショップがカフェを併設したのが始まりで、「PS」もこの店名のイニシャルから来ている。私が来星したばかりの2008年は、息子とよくこのパラゴンのカフェで美味しいマフィンとミルクシェイクをいただいたものだ。当時はもうデンプシーの2号店も出来ており、たまに週末のブランチに使っていたが、普段使いにはちょっと高額な感があった。




この夜はディナーながら、みんな「食欲がない」だの、「病み上がりだから」だのということで、結局軽食をシェアすることに。まあカフェだから良いんですが。上写真は名物のトリュフ・シューストリング・フライ。トリュフオイル、パルメザンチーズ、パセリに絡めたフライドポテトで、おしゃべりしながら食べるのにもってこいだ。





シンガポール・チリ・クラブ・ケーキ。




ニホン・サラダ。 サーモンやお豆腐、枝豆が入ったヘルシーなサラダ。




病み上がりの友人はポートベロ・マッシュルーム・スープを。かわいそうに・・・。

さて、コーヒーでも・・・と思っていたら、ゲイ友が突然、「デザート食べたい!」と言いだした。「でもあなた二日酔いじゃないの?」と聞くと、「デザートは別腹なのっ!」と。しかも選んだのはダブルチョコレートケーキ。ひぇぇ・・・。




私も何となくデザートが食べたくなり、ジンジャーパンプディングを。生姜のピリリとした味と、まろやかなバニラアイスのコンビネーションがいい。プレゼンテーションも美しい。これがPS. Cafeの付加価値。




いつもはこれから2軒目、というところだが、これまでの流れにより解散となった。バルセロナの友人は宿泊先のセントレジスで寝込む以外何もせず、次の出張先である台湾へと旅立っていった。




ところでPS. Cafeのアンシャンヒル・パーク店が子供厳禁なのはご存じだろうか。出来たばかりの頃知らないまま息子を連れて行き、同じくそうとは知らず予約をしてい た友人たちが無理を通してテラス席を作ってもらいディナーを食べたのだが、その際息子の手がワイングラスに触れて、グラスが割れた。その時に思ったのが、 「PS. Cafeさんのポリシーは間違っていない」ということだった。シンガポールの飲食店は案外どこでも子供連れOKだが、食事だけでなくその空間や雰囲気にも お金を払っている客にとってはそんな訳にはいかない。子供が分別のつく年頃になるまで、親が責任を持って食事の場所のTPOをわきまえることは、子供に とっても最善なことだと思う。

ちなみにアンシャンヒル・パーク店以外のP.S. Cafeは、すべてキッズフレンドリーです♪ (アンシャンヒル・パーク店だけは、大人のための店というコンセプトです)


ごちそうさまでした!


P.S. Cafe (Palais Renaissance)
LEVEL 2. PALAIS S.C
390 ORCHARD ROAD
TEL: 9834 8232
http://pscafe.com/



2013年3月4日月曜日

創業400年ドイツの名門リースリングのワインディナー Wine Connection @ Cuppage Terrace

ワインコネクションが定期的に開催しているワインペアリングディナーは、リーズナブルながらコース料理がいただけ、しかも醸造所の方と話す機会もあるので、前回紹介したアルゼンチンワインディナー同様、ほぼ毎回楽しみに参加している。

先日開催されたドイツワインディナーに、お酒大好きの友人みさおちゃんと参加した。今回フィーチャーされたのは1600年(関ヶ原の戦いの年!)に起源が遡る名門ワイナリー、ゼルバッハ・オスター。生産するワインのほとんどがリースリングで、手ごろな価格ながらロバートパーカーを始め多くの権威ある評価を得ている。シンガポールではワインコネクションでしか買えないワインブランドでもある。




フランスからドイツを流れ、ライン川に合流するモーゼル川のあたりは、ヨーロッパでも有数なワイン産地として知られる。ゼルバッハ・オスターのぶどう畑は、モーゼル川に面した斜面にある50ヘクタールの土地。デボン紀の粘板岩や黒土に恵まれ、場所によって日光の当たり方や土壌が異なり、それによって異なる味が楽しめる。リースリングらしいフルーティな後味と程良い酸味が特徴だ。現当主のヨハネス・ゼルバッハ氏(下写真)がゲストスピーカーとして来場し、情熱溢れる解説をしてくださった。




さて、こちらはワインコネクションのPRパーソン、フランス出身のフィオナさん。クールな容姿に明るく社交的な彼女の性格は、当店のPRにかなりポジティブに貢献していると思う。まだ来星一年足らずだが、暇を見つけては東南アジアを旅行し、シンガポール生活を満喫している。旧正月はミャンマーを旅し、最近はインドネシアのメダンでトレッキングを楽しんだそうだ。




ドイツワインというと、かつて安いワインが大量に流通した時の記憶もあり、何となく避ける傾向にあった。リースリングも、あのミネラルの味や甘めの味が今ひとつ苦手だった。しかし、ヨハネスさんが、「リースリングはオーケストラのような品種です。一つの品種なのに色んなフレーバーを奏でることができるのです。」と言われたのに興味をそそられた。


 


まずは前菜と合わせる1杯目。2011 SELBACH - Riesling Classicはドライで柑橘系のすっきりとしたワイン。アルコール度数は12度で、今回出されるワインのなかでは最も高いそう。この地域は寒冷地のため、長時間をかけて発酵されることで、全般的にアルコール濃度が低く、糖度が高い。


Salad of Smoked Chicken Breast, Walnuts & Apple Slaw


2杯目は、2011 SELBACH - Riesling Kabinett Zeltinger Himmelreichを。カビネットは、ドイツワインのなかでも最も糖度の低いぶどうで造られるワイン。フルーティで、甘いシロップの後味と口のなかを潤すような酸味があった。カビネットのなかでも伝統的スタイルという。ゆっくり発酵することで、芳醇なアロマとフルーティさが保たれている。

ここでヨハネス氏からサプライズワインが登場。同じ銘柄の2009年物との飲み比べだ。こちらはよりドライ感が強かった。同じ畑の同じぶどうでも生産年や熟成度合いの違いで味が変わるものだ。ヨハネス氏が「オーケストラ」と言った意味が少し分かるような気がした。




Poached Oriental Pork & Cabbage Dumpling in Chicken Broth, Scallion Oil

 
3杯目の2011 SELBACH-OSTER - Zeltinger Schlossberg Riesling Kabinettは1杯目と比べてアルコール濃度的には半分で、ヨハネス氏によると「友達と会話とワインの両方を(しらふで)楽しみ、千鳥足で家に帰ることもないワイン」だという(笑。より時間をかけて発酵することで、アルコール濃度がさらに低くなるとともに、土壌(岩)のミネラル分も感じさせる。こちらも2009年の同レーベルのワインと飲み比べた。


Slow Roasted Veal Shoulder with Duck Foie Gras Sauce, Medley of Mushrooms, Buttered Tagliatelle


4杯目にチーズと合わせた2010 SELBACH-OSTER - Zeltinger Schlossberg Riesling Spaetlese(92 Parker)は、パーカーポイント92点の2010年物最後のボトル。蜂蜜のような甘い後味が印象的で、カビの苦みを含んだチーズとの相性も抜群。もう2010年物は無くなってしまったが、2011年物はもうすぐ入荷するそうだ。




Cheese Plate with Crusty Bread & Grapes


そして最後にデザートと合わせるサプライズワインの登場! アップルコンポートと味がシンクロするような、蜂蜜の味がするアイスワイン。ドライ好きな私にはかなり甘めに感じたが、デザートとしていただくのには良いかもしれない。



Poached Apple in Spiced Riesling Syrup, Topped with Honey & Cinammon Mascarpone



途中でヨハネスさんによるくじ引き大会が。そして何とワインのご褒美がただ一人みさおちゃんの手に!





これです!





2007年もののシュペトレーゼ。ヨハネスさんお墨付きの美味しいワイン♪ 良かったね(^_^)/


冷たく冷やした白ワインを飲みながら常夏の風に吹かれるのは気持ちの良いものだ。ヨハネスさんも「これからもっとシンガポールでリースリングの需要が高まるだろう」と笑顔満面。次はリースリングを買いこんで、イーストコーストでバーベキューでもしたいなと思う。


ごちそうさまでした!


Wine Connection - Orchard Cuppage Terrace
39/41 Cuppage Road
TEL: 6836 9069




おめでとう(*^^)v