はし田では、お昼は80ドル、120ドル、250ドルの三種のコース、夜は300ドル〜500ドルのおまかせか300ドルの鉄仙コース、というすべてコースの仕立てとなっている。この夜はおまかせメニュー。主催者のご厚意を有り難く頂戴する。
大ぶりのシャキシャキしたガリが出てきた。甘さ控えめでさっぱりしていて、日本酒が進む。
世界無形文化遺産の名に相応しい、華麗な食の舞台がここから始まる。美しい包丁さばきに見とれる。見せる厨房の真骨頂。
「ブログに載せるかもしれませんが、いいですか?」との問いに、「いいですよ!」と、にっこり。真剣な顔もですが、笑顔もステキです。
並べられた寿司下駄に丁寧にお寿司が並べられていく。これぞ手仕事の極み。
まずは白身魚と貝の一皿目。寿司職人の皆さんは英語も堪能で、一つ一つ寿司ネタを英語で解説された。
おもむろにマグロのブロックが登場。選抜きの部位に包丁が入れられる。
待ちきれない客に笑顔で答える佐藤さんと中川さん。
二皿目。
見て欲しい、この真ん中に燦然と輝くトロ様を!
この姿はまさに「肉質がとろりとしているから」という語源を体現している。一口で食べるこの刹那に、体が持つ感覚のすべてを集中する。
「う、うまい! おかわりっ!(ないです)」
はし田のおまかせはここでは終わらない。
畳み掛けるようなゴージャスさ。それと対照的な器の渋さに注目。
贅を凝らした食事の後は、貝のお味噌汁がお腹に優しい。
そしてお新香で口の中を整える。
デザートでフィニッシュ。日本産のメロンとイチゴは格別に甘く、海外からの客人が驚いていた。シンガポールでは日本産のフルーツは高く普通では手が届かない。汁が滴り落ちるようなメロンにここぞとばかり舌鼓。
本格的な寿司が初めてだったイタリアの客人たちも、すっかり寿司の虜になったようだ。ミラノでは和食がブームらしく、このような高級寿司店も近いうちに現れるかもしれない。コースを楽しみながら話に花が咲き、いつのまにか残っているのは私たちだけ。
ディナーの翌日はイベントのリハーサル。楽しく美味しいひと時の余韻を残しつつの散会となった。
余談だが、このイベントとは、あるイタリアの若きクラシック作曲家のシンガポール初リサイタル。彼と、バイオリンの聖地クレモナで奮闘する若き日本人バイオリン職人、そして彼らに共感した第一線の弦楽奏者たちやパトロンが集まって、手作りのリサイタルを開いたという訳だ。関係者全員の熱意が実り、リサイタルは大成功のうちに終わった。この若い作曲家もバイオリン職人も、伝統を愛しその伝統を次世代に受け継ぐために、様々な新しい試みに挑戦している。シンガポールで働く和食の職人たちにも通じるものがあるのではないだろうか。
普段使いは難しいが、大切な人と特別な時間を過ごすために、また訪れたい店である。
いやむしろ、一人で美味しいものを食べたい時に行きたい店である。
特別なお食事と時間をありがとうございました。
ごちそうさまでした!(次はマカロン!)
はし田
333A Orchard Road
#02-37 Mandarin Gallery
Singapore 238897
http://hashida.com.sg/
333A Orchard Road
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Singapore 238897
http://hashida.com.sg/
リハーサルのワンシーンより
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