2012年11月16日金曜日

シンガポールでも貫けるか「塚田スタイル」 塚田農場

10月末にプラザシンガプーラのアトリウムにオープンしたばかりの塚田農場シンガポール店。
オープン直前のお披露目会に参加した。




当店は現在日本国内に飲食店128店舗を運営する株式会社エー・ピーカンパニーの海外進出1号店だ。エー・ピーカンパニーといえば、自社で養鶏場や牧場を運営する生産者直結の事業スタイルと、高い顧客リピート率を誇るユニークな接客方法で知られる。

塚田農場は、そもそもエー・ピーカンパニーが宮崎県に建設した自社養鶏場の名前。米山社長の著書に経緯が詳しく書いてあるが、塚田農場の代名詞にもなっている「地鶏の炭火焼き」も、養鶏場の運営も、約6年前に完全スクラッチから始めた正真正銘のベンチャーだ。それが今では飲食店だけでなく、生産者や地方自治体からユニークなビジネスモデルとして注目されている。

日本の塚田農場に行ったことがある。女性スタッフは浴衣をモチーフにしたかわいらしいユニフォームのいでたち。スタッフは対話を通してさりげなく、その客が初めてなのかリピーターなのか、どこから来たのか、などの顧客分析を行う(こういうことも社長の著書に詳しく書いてある)。そして与えられた自己裁量の範囲内で、食べ残しの炭火焼きがあればそれを焼き飯にアレンジしたり、ちょっとしたオマケのデザートを出したりと、それぞれの客に「あなただけよ」的な親密なサービスを提供する。

リピート率の高さの理由の一つが、ビジネスマンの出世欲をくすぐる「名刺」システム。初来店時にもらう「名刺」の肩書きが来店数を経るごとに上がっていくのだ。最初は係長あたりから始まり、最後は社長とか会長とかになる。中間管理職あたりにまで昇進すると、思わず取締役レベルになりたいと来店を重ねてしまいそうだ。

シンガポール進出にあたってのマネジメントの悩みどころは、地鶏が売りの塚田農場で、彼らの品質基準に適した地鶏が地元でも手配できるかというところだっただろう。現在日本から鶏肉の輸入が禁じられているという経緯もあるが、新鮮な地鶏を提供するためには、いずれにせよ日本でなく地元に供給源を求めなければならない。今後2号店、3号店と増えていけば、会社のポリシーとしてマレーシアに自社養鶏場を設立するだろうと考えられるが、ひとまずは目の前の問題をクリアすることが必要だ。そしてもちろん、地元の舌に合ったメニュー作りも考えなければならない。

そのため、シンガポール店のメニュー構成は、日本とはかなり違う。20代以上のヘルスコンシャスなシンガポーリアンの女性を対象に、鶏コラーゲンがぷるっぷるのシンガポールオリジナル「美人鍋」を開発、これを全面に出したメニュー構成にした。

美人鍋には自社養鶏場で育てた「みやざき地頭鶏(じとっこ)」のガラを8時間以上煮込んだ煮凝りを使う。これだと塚田農場自慢の高品質の地鶏の味をシンガポールでも提供できる。





それに、地元の鶏のミンチや野菜、エビなどの海の幸山の幸。




鍋に入れた煮凝りが溶け、沸騰したところで、これらの食材を投入。




食べてみたら実に美味しかった。鶏の旨みが凝縮された濃厚スープなのにあっさりしてくどさがなく、さらに食材の旨み成分も追加され、期待を遥かに超える美味しさ。仲間たちと、来星中の米山社長はじめマネジメントの方々に、「このメニューは日本に逆輸入すべきです!」と、声をそろえてお伝えした。




またシメの細い卵麺が美味しい。ちなみに麺は三種類から選べる。




塚田農場ならではのカタログのような分厚さはないが、やはり同じコンセプトのお品書きである。




 そして、日本でも名物のチキン南蛮。




仲間たちと「なーにこれおいしいー!」と絶賛したボリューム満点の肉巻きおにぎり。中の具は選べる。




そして、出ました!塚田農場スタッフプレゼンツ親密サービス。ローカルスタッフが、ハート型にした海苔の佃煮を出し、「フロームボトムオブマイハート」と! 初日だから緊張しただろうなと思い、みんなで拍手で応えた。

 


ところで、なぜここのスタッフは日本と同じ浴衣調のユニフォームを着ていないのだろうか。それは、①日本よりもスタッフの年齢が平均的に高い、②多様な宗教や文化に対応するため、だそうだ。

プリンも美味しい。こだわりの卵を使っている。




そして名刺も登場! シンガポールでは「アシスタントマネージャー」から始まる。




ローカルだけでなく、日本人も満足する味とサービス。色んな意味で「塚田スタイル」がシンガポールに移植できるのか心配だったが、それはほぼ払しょくされた感じだ。後はプラザシンガプーラの新館という未知数のショッピングモールに、どれだけ恒常的に人を呼び込めるか。

次はお昼に煮込みラーメンを食べに行こう。


ごちそうさまでした!


塚田農場シンガポール店
#03-81 The Atrium@Orchard, 60B Orchard Road, Singapore 238891
TEL: +65-6336-5003



少しは美人になれたかしら・・・(#^.^#)

2012年11月15日木曜日

タイの元宮廷料理人がつくる繊細なタイ料理 Sabai Fine Thai on the Bay

私にとってシンガポールでタイ料理といえばジム・トンプソン。エスニックに関してはあまり冒険しないのがポリシーなのだが、 ラッフルズプレイスで働く友人の誘いで、彼が「シンガポール一美味しい」と絶賛して止まないタイ料理店にランチに行った。




かつては本当にここで船荷の積み下ろしをしていた(と以前運転手のおじちゃんから臨場感あふれる語り口で聞かされた)クリフォードピア(埠頭)の旧税関カスタムズハウス。名称を残し、新たなダイニングスポットとしてリニューアルオープンしたのが2010年。その隣のフラトンベイホテルも同時にオープンした。これらを開発したのは香港のシノランドと当国のファー・イースト・オーガナイゼーションの合弁会社「フラトン・ヘリテージ」であり、2001年に中央郵便局から高級ホテルに生まれ変わったフラトンホテルや、ボートハウス、ワンフラトン、マーライオンパークなども全て同社傘下にある。

フラトンベイ地区は眺めが良くテラス席で子供を遊ばせることができるため、週末にたまに親子で行く場所だ。隣のNueva Cubaの瓶入りモヒートが美味しいのだが、今日はあくまでこちらで健康的なタイ料理を食することとした。

ランチは2コース($27.50)と3コース($31.50)のセットメニューがあり、 私は2コースのセットを。友人はアラカルトをチョイス。




先に友人の青いマンゴのサラダがきた。事前に好みの辛さを伝えることができる。これはマイルド。砕いたピーナッツソースとシャキシャキのマンゴの絡み具合がいい。個人的にはもっとスパイシーでもいいかな。




タイ料理のお楽しみは何といってもこの美しいカービング。丁寧なプレゼンテーション。その理由は後ほど。




こちらは私のコースについてきた青いパパイヤのサラダ。小さいながらきれいな盛りつけ。乾燥エビとパパイヤの歯ごたえが小気味良い。




飲み物にはレモングラスのお茶を。お好みでシロップで甘さを足せる。ポットで来るのを期待していたので、少し残念。

そして私がメインに注文したレッドカレーが。




ローカルやエクスパッツ好みに味をマイルドにしているのかしら・・・と思ったら、実はそうではなく、繊細でマイルドなタイ本来の宮廷料理から来ているのだそうだ。ここのシェフたちは女性がメイン。シニアシェフのサムリーさんは、宮廷料理人として現国王ラーマ9世の産みの母である王妃に仕えていたという。カレーとパッタイが得意料理というだけに、このカレーも確かに洗練された深みを感じる味だった。もう一人の女性シェフは何と14歳でこの業界に入り、サムリーさんの薫陶を受けたカービングのプロフェッショナル。どうりで・・・。

あまりにカレーに夢中になり(ライスはおかわり自由)、友人のグリーンカレーの写真を撮り忘れてしまった。ちょっと見苦しいが、食べている途中で撮ったショットがこちら。




ココナッツ味のカレーにチキン、野菜、ハーブが入り、辛さはマイルドでどちらかというと甘さがしっかり出ている感じ。女性向け、辛さが苦手な人向けかも。辛さに慣れている人なら、事前に言って辛めにしてもらった方がいいかもしれない。

そして、お楽しみのデザート。セットランチにはフルーツがついてくる。


 

盛りつけがかわいらしい。スイカが丸くくりぬいてあったり、他のフルーツも形良く切ってあったりと、仕事の丁寧さが嬉しくなる。

そして、友人が「これを食べずにいられない」と言っていたデザートがこれ。




ココナッツミルクで炊いたもち米にマンゴー。この黄金のコンビネーション、一体最初に誰が考えついたのだろうか。カレーでおなかがいっぱいになっても、別腹でいくらでもいける。もち米はジム・トンプソンより甘さ控えめ、柔らかい完熟マンゴーと一緒にモチモチ感を楽しむ。

確かにこの界隈で評判のタイ料理店だけあって、満足の美味しさ。セットランチもこのボリュームで$27はコストパフォーマンスが良い。街中で洗練されたタイ料理をという時は、まずはここをおすすめしたい。


マラソン直前を言い訳に高カロリー 料理を大満喫!

ごちそうさまでした!


Sabai Fine Thai on the Bay
70 Collyer Quay #01-02 Customs House
TEL: 6535 3718-9
http://www.sabaifinethai.com.sg/



お隣の瓶入りモヒートも美味しい(*^。^*)

2012年11月12日月曜日

唐津の海とライオンコーヒー シーサイドカフェ・ジャミン

「玄界灘をゆりかごに」のフレーズで始まる唐津くんちのお囃子。
 唐津っ子は、荒々しく雄々しい玄界灘を見て育ってきた。だからかもしれないが、往々にして、感情の起伏が激しく(あるいは感情表現豊かで)、喧嘩っ早く(あるいは正義感に溢れ)、大声で(あるいは滑舌が良く)、宵越しの金は残さないような人間が多い。ちなみに私は泳ぎが下手な 分、気性は幾分柔らかいのではないかと思っている。




ともかく、海を見て血が騒がないような唐津っ子はいない。私も福岡空港から唐津に帰る道すがら、唐津の海が視界に入った途端、心がざわざわするような気持ちになる。

私が一番好きな海岸線は、福岡県の糸島から佐賀県の浜崎にかけて続く鹿家(しかか)の浜。次に好きなのが浜崎から西に10キロ位走ったところにある湊(みなと)。そして湊を海岸線沿いに北上し、その先端にある七ツ釜である。




陽光輝く初秋に息子と姪と母とで七ツ釜を訪れた。息子と姪は同じ年に生まれ、まるで双子のように仲が良い。




玄武岩が玄界灘の荒波によって歳月と共に次第に浸食され、海食洞といういくつもの穴ができ、七ツ釜となった。七ツ釜と言われるが、実際には七つ以上の穴が存在する。




七ツ釜の近くにある岸壁で、荒波と戯れる。

波が引いては岸壁に近づき、




波が来ては岸壁から離れる、




そんなことを繰り返しながら、子供たちは海の優しさや怖さを肌で学んでいくのだろう。

七ツ釜で遊んだ後、湊に立ち寄った。地元民だけなく、ここを訪れる日本国中のサーファー達の憩いの場所で休憩するためだ。もともとは佐賀市内で同名の店をしていたサーフィン好きのオーナーが、ちょうど10年前、海を見ながら余生を過ごしたいと、九州サーフィンのメッカ・立神岩を眺める海岸際に店を移転した。というか、半年かけて自前で建ててしまった。




店の広い敷地にはスケートパークがあり、スケートボーダーやBMXの競技者なども訪れる。地元ミュージシャンのライブも定期的に催されており、常に「何か面白いことがある」場所である。




ここの人気メニューは通販もしている4日間かけて作る手作りカレー。そして数日前に予約すれば炭から準備してくれるバーベキュー。「浜で遊びたい!」と言う子供たちと「コーヒーでも飲んで休みたい!」と言う大人たちの折衷案として、海を臨む当店のテラスで温かい飲み物を飲むことにした。




海から吹き上げる風はかなり秋の冷たさだ。温かいライオンコーヒーとキャラメルドリンクが美味しい。テラスには大きなブランコもある。




店にいた家族連れがおもむろにスケートパークでBMXの練習をし始めた。お父さんと、おそらく10歳そこらの男の子だ。子供たちが釘付けになり、ジャンプにいちいち拍手をする。




オマケに私のiPhoneを使ってこんな動画まで撮ってしまった。




その後、子供たちとの約束通り、近くの幸多里(こうたり)の浜に行った。昔は海ガメが産卵に来るほど美しい海だったという。子供たちは波の動きに合わせて、駆け出したり後ずさりしたり、1時間位飽きずに遊んだ。




こんなことを二人そろって無邪気に楽しめるのも、あと2,3年位だろうか。子供たちの姿が眩しくて、少し切なくなる。そんなことを知ってか知らずか、子供たちは一瞬一瞬をキラキラと楽しんでいる。


次の帰省前は忘れずにバーベキューの予約をしようね。


ごちそうさまでした!


Sea Side Cafe Jammin'
佐賀県唐津市湊町4703-1
TEL:0955-51-7070
http://jammin.jimdo.com/


シンガポールで一番思い出に残る夜 雲

雲は、私にとってシンガポールで最も思い入れの深い店である。
それには色んな理由がある。

タンジョンパガーという場所で、オフィス街とは逆側のしかも新しいショッピングセンター内という難ありのロケーションに位置しながら、シンガポールの和食好きなら誰もが知る有名店に成長したこと、ピカイチに美味しい和食とお寿司を「日本価格に換算すればかなり手軽な価格で」食べられること、そしてスタッフの温かいもてなしと広橋料理長のお人柄。広告効果だろうとおっしゃる方もいるかもしれないが、その人気が一過性ではないことは、雲の実力の表れである。

個人的にお付き合いさせていただいたり、仕事上でコラボレーションさせていただいたという経緯もあるが、それを抜きにしても大切にしたい店であり、事実、大切な人との大切な食事はいつも雲でと決めている。

10月の最終日、私はシンガポール生活の一つの区切りとなる日を迎えた。同僚たちは自分の懐事情に関係なく、その日を雲で祝う準備をしてくれた。そして当日、雲の個室には何と13人が! 会社のほとんどのスタッフが出席してくれた。

雲は現在、広橋料理長と野田副料理長の2人体制で切り盛りされている。大阪出身の広橋さん、東京出身の野田さんというコンビネーションとなり、雲独特の世界に新しい感性と深みが加わった。そしてこの夜は、野田さんが秋の味覚いっぱいの献立を担当してくれることになった。



 焼き茄子ゼリー 雲丹添え



 縞鯵 糸瓜 鰹出汁のスープで



造り 鯛 鮪 カンパチ



 焼物 秋鮭塩焼き



焼物  USリブアイ ガーリックソース



 小鉢 柿なます



炊き合わせ 和牛スネ肉の治部煮



食事 茸ご飯



デザート 南瓜アイス



和のデザート 松風 栗時雨


「おまかせ」という言葉がシンガポールでもバズワードのようにもてはやされているが、おまかせは真の意味ではおまかせではない。私が息子に「晩御飯何がいい?」と聞くと、大抵「何でもいい」という言葉が返ってくる。しかし実際つくってみると、「これじゃない~」と言われる。家族でもこれだから、他人だともう手さぐりの状態である。しかし私は雲に限ってはすべてを委ねられるし、その期待は今のところほぼ裏切られたことがない。野球の好バッテリーのように、その時間と空間と体験のキャッチボールを心行くまで楽しめる。

ただこの夜は、同僚たちとの笑いと親父ギャグの方のキャッチボールが過ぎて、店にはかなり迷惑をかけたようだ。がしかし、本当に夢のような時間を堪能した。ジェネラルマネージャーのフェビアンさんには美味しいビールやワインもいただいた。

その後同僚たちと2次会に繰り出し、野田さんにも無理を言って仕事の後に参加していただいた。こんなにトラディショナルな日本料理をつくられる方だが、私服姿でお会いすると今どきのジュノンボーイ(例えが古い?)のようである。世代を超えてみんなでマッコリを飲みつつ、午前2時半まで楽しい夜を過ごした。

野田さん、フェビアンさん、スタッフの皆さん、そして同僚のみんな、ありがとうございました。

思い出に残る素晴らしい夜でした。


ごちそうさまでした!


Kumo Japanese Kaiseki Restaurant
12 Gopeng St. #01-58 Icon Village
TEL: 6225-8433
http://www.kumokaiseki.com.sg


2012年11月11日日曜日

テラス席で寛ぐボートキーの小粋なイタリアン Enoteca L'Operetta

クラークキー、ロバートソンキー、ボートキーのなかで、最近最も盛り上がっているボートキー。「十番スタンド」、「型無(かたなし)」、「e.pachi(いっぱち)」と、この数か月で日系の飲食店が次々オープンし、ブキパソの人気フレンチ「Absinthe(アブサン)」も先日ここに移転オープンした。
かつては観光客目当ての客引きが目立つ飲食街といったイメージだったが、今では地元のヤッピーたちが訪れるヒップな飲食スポットといった感がある。




ラッフルズプレイスMRT駅を背に、ショップハウスひしめく川岸の道を辿った一番端っこに、 Enoteca L'Operettaはある。オーナー、料理長ともに日本人なので、地元の日本人コミュニティによく知られているイタリアンだ。

週末の息子とのデート、マリーナベイサンズが良く見える テラスの特等席を取っていただいた。




午後6時過ぎ。ちょうど夕暮れ前で川から涼しい風が吹いてくる。テラス席の内装にオーナーの水谷さんのこだわりが見える。かすかに流れる女性ボーカリストのちょっとジャジーな音楽もいい感じだ。




厨房を仕切るのは30代の中原料理長。イタリアで修業をした後、少年時代を過ごしたシンガポールに戻りたいという願いを実現された。 デカダントな内装の店内とは打って変って、「弟にしたいナンバーワン」のような素敵な好青年。前菜は中原さんにおまかせのアンティパストミストをオーダーした。




カッティングボードには、レバーパテ、バーニャカウダ、ムール貝、マッシュルームソテー、ハムが並ぶ。息子のお気に入りはマッシュルーム。




私はバーニャカウダをほとんど一人で。アンチョビのほどよい塩加減。歯ごたえの良いラディッシュが特に美味しかった。




日がちょうど暮れたころ、様子を見に来てくれた中原さんが「子供におすすめ」とおっしゃったボロネーゼのパスタをオーダーした。中原さんは自分にしかつくれないメニュー以外は厨房スタッフに料理を任せ、積極的にホール役を務められる。接客を通じ客の反応を肌で感じるのは、料理長として素晴らしい姿勢だと思う。




少し甘目のソースがさらっとしたタリアテッレに絡みつき、お肉はほろほろと柔らかい。




息子がパスタをとても気に入ったらしく、自分で取り分け、あっという間に平らげた。
私はピッツァも食べたい気分だったが、息子はおなか一杯になったようなので少し寛ぐことにした。オーナー厳選のグラスワインを2杯ほど楽しむ。




夜の帳が降りると、目の前にはこんなにも綺麗な夜景が広がる。右手には1820年に建築されたフラトンホテル、斜め右手にラッフルズプレイスの摩天楼、正面にマリーナベイサンズ、そして左手にかつては劇場だったアジア文明博物館が見える。シンガポールが約2世紀かけてつくりあげた眺めだ。




2歳の時にシンガポールに来た息子ももう7歳。目まぐるしく変貌するシンガポールのなかで、日本では味わえない色んなことを吸収して育ってきた。




これまでほろ苦い経験もあったが、結論として人生は甘い。La Dolce Vitaである。中原さんからデザートの盛り合わせをつくっていただいた。息子のお気に入りはクレームブリュレ。私は何といってもティラミス。甘さ控えめなのが日本人には嬉しい。




ここで私の持論。人の記憶は上書きされる。いくら美味しいものを食べたからといっても、シメが今一つだと、それがそこでの体験の9割位を塗り替えてしまうと私は信じている。和食だったら美味しいお茶、イタリアンだったら美味しいカプチーノかエスプレッソ。これをいただいた後の総合評価が、それまでの評価を塗り替えることが、実はこれまでも多々あった。以前ある有名イタリアンで、シメのカプチーノがあまりにもお粗末だったため、それから他人に勧められなくなった思い出がある。

当店でも最後にカプチーノをいただいた。




「はーと」である。(*^^)v

帰りに息子とボートキーの階段に腰を下ろして、しばらく美しい対岸の景色を眺めた。息子が大きくなっても二人で素敵なデートを続けたい(続けてくれるだろうか・・・)と思う夜であった。

中原さん、そしてスタッフの皆さん、素敵な夜をありがとうございました。

ごちそうさまでした!


Enoteca L'Operetta
78 Boat Quay
Tel: 6438 2482
http://www.enoteca.operetta.sg/