4月の移転オープン時から常にシンガポールの食通たちの話題に上っているのが、このSaveurだ。
この店名はフランス語で「味」を指し、日本語ではサヴールと発音するようだ。(例えば丸の内の「サンス・エ・サヴール」) しかし本場の発音はかなり違うようなので、後ほどご紹介したいと思う。
なぜこの店が人気なのかはいくつかの理由がある。
まず「話題性」。名門ギ・サヴォアやオーストラリアのジャパニーズフレンチTetsuya'sで修業を積んだ未だ20代のジョシュア・クーとディラン・オングが、「シンガポールで誰もが気軽に食べられるフレンチを」と、コピティアムにフレンチ屋台を出店。それが大人気となり、ラッフルズ・ホテルの近隣、パーヴィスストリートに店を出した。パーヴィスストリートと言えば、地元のカフェに加え、高級フレンチのギュンターズや高級イタリアン、ガリバルディが並ぶ激戦区。そこにフレンチ「屋台」が打って出た、という訳だ。
そして2番目の理由が、その「驚くべき安さ」。フォアグラが$7.90から食べられるとあって、それだけのために足を運ぶ(んだ)人も多いと思う。
最後の理由が、「予約不可」というところ。この方針は今後客の足並みが落ち着いたら変わってくるかもしれないが、このために今でも(2012年10月現在)ランチタイムは30分位前から行列ができる。行列好きなシンガポーリアンたちをはじめ、西欧人や観光客たちが毎日辛抱強く並んでいる。
ランチタイムの数十分前にちょうどパーヴィスストリートでアポイントを終えた日、興味本位で行列に並んでみた。炎天下で待っている間、スタッフたちがのどかに店の準備をしているのが何となく恨めしい(全く行列客の自業自得である)。開店5分位前からスタッフがきびきびと行列客のリストを作り始めた。最前列から名前と人数を聞いていく。手際の良さに、先ほどの恨めしさもどこかに消えていった。
最前列から数人目だった私たちも、開店と同時に難なく店に入ることができた。(正午ちょうどに来れば行列の労せず、行列分で店内を埋められなかった数席の余りにありつくことも可能だが、保証はない。)
うなぎの寝床のような長細い店内。プラスティックのテーブルと椅子は、ホーカーの名残を思わせる。壁には洒落た写真や黒板が飾られている。
まず最初に目に入った黒板に、私の大好きな聖書の一節が書いてあった。
コリント人への第一の手紙第13章に出てくる、「愛は寛容であり、愛は親切です・・・」という、結婚式でもよくつかわれる一節だ。店内の最も目立つところに掲げているということは、これが店のポリシーかな、と思った。愛情あふれるホスピタリティに期待が高まる。
お昼のメニューはこんな感じ。パン&バターが$2、エンジェルヘアーパスタが$3.9、サラダが$3.9、スープが$4.9、フォアグラのソテーが$7.9からと、とにかく破格値だ。
スタッフは総じて無駄な動きなく、満席の店内でも注文に比較的早く応じていた。若者だけでなくちょっと年配の方もいるところがホーカー出身の温かさか。スタッフたちが両手に皿を持ち、注文のメモを取る暇も手もないまま復誦して、カウンターに伝えていく。
あまりおなかがすいていなかったこともあり、スターターやサラダを中心に注文することにした。
まずはサラダ。
ポーション的に大きくはないが、これで$3.9である。さっぱりしたレモンビネグレットと鴨肉の相性を楽しむ。
そして思わずおかわりした$2のパン。ふわふわした触感が昔の給食パン(を格段に美味しくした)のようだ。バターも本物で(笑、これは間違いなく安い。一緒に注文した本日のスープ(マッシュルームスープ)とともにいただく。
これが噂のエンジェルヘアーパスタ、$3.9。前菜としてのポーションだが、桜エビとポークのトッピングと一緒だと、結構食べ応えはある。日本の洋風居酒屋で出てきそうなメニューだ。
そして、いよいよ真打登場!
フォアグラのポートワインとバニラで味付けしたリンゴ添え、$9.9なり。
う、うまい!
が、小さい!
二口で食べられる小ささだ。フォアグラ料理の相場が良く分からないのだが、これで$9.9はリーズナブルってことでいいんですよね、と確認したくなった。
他のお客さんは、フォアグラやエンジェルヘアーパスタをスターターに、鴨のコンフィやテンダーロインステーキなどをがっつりと食べていた。ランチコースがない分、色々アラカルトで注文していくと、最終的にはランチタイムでも$30位かそれを超える額になる。それでも全体的なお得感はあるし、私のようにスターターだけで終わらせる手もある。
英語に「ノーフリルズ」という言い回しがある。フリルのついていない、つまり簡素化されたという意味で、ビジネスホテルや格安航空会社などを説明するときに使う。サヴールもそういった意味ではノーフリルズであり、フレンチの雰囲気を心行くまで楽しみたい方は、対面のギュンターズに行くべきだ。しかし、ここはここで、シンガポールならではの温かみがある。先ほどの聖書の一節、「愛は自慢せず、高ぶらない」がしっくりとくるような雰囲気なのだ。
とりあえずこの混みようだと、今のところは話のネタで来れば十分。ディナータイムにワインを傾けつつ、スタッフの方たちと歓談に興じられる位落ち着けば・・・と思うのだが、この一等地に存在する限り、回転率を考えなければならないところが悩ましいところだ。
ごちそうさまでした!
Saveur
05 Purvis Street
6333 3121
さてお待ちかねのSaveurの正しい発音の仕方です。
この店名はフランス語で「味」を指し、日本語ではサヴールと発音するようだ。(例えば丸の内の「サンス・エ・サヴール」) しかし本場の発音はかなり違うようなので、後ほどご紹介したいと思う。
まず「話題性」。名門ギ・サヴォアやオーストラリアのジャパニーズフレンチTetsuya'sで修業を積んだ未だ20代のジョシュア・クーとディラン・オングが、「シンガポールで誰もが気軽に食べられるフレンチを」と、コピティアムにフレンチ屋台を出店。それが大人気となり、ラッフルズ・ホテルの近隣、パーヴィスストリートに店を出した。パーヴィスストリートと言えば、地元のカフェに加え、高級フレンチのギュンターズや高級イタリアン、ガリバルディが並ぶ激戦区。そこにフレンチ「屋台」が打って出た、という訳だ。
そして2番目の理由が、その「驚くべき安さ」。フォアグラが$7.90から食べられるとあって、それだけのために足を運ぶ(んだ)人も多いと思う。
最後の理由が、「予約不可」というところ。この方針は今後客の足並みが落ち着いたら変わってくるかもしれないが、このために今でも(2012年10月現在)ランチタイムは30分位前から行列ができる。行列好きなシンガポーリアンたちをはじめ、西欧人や観光客たちが毎日辛抱強く並んでいる。
ランチタイムの数十分前にちょうどパーヴィスストリートでアポイントを終えた日、興味本位で行列に並んでみた。炎天下で待っている間、スタッフたちがのどかに店の準備をしているのが何となく恨めしい(全く行列客の自業自得である)。開店5分位前からスタッフがきびきびと行列客のリストを作り始めた。最前列から名前と人数を聞いていく。手際の良さに、先ほどの恨めしさもどこかに消えていった。
最前列から数人目だった私たちも、開店と同時に難なく店に入ることができた。(正午ちょうどに来れば行列の労せず、行列分で店内を埋められなかった数席の余りにありつくことも可能だが、保証はない。)
うなぎの寝床のような長細い店内。プラスティックのテーブルと椅子は、ホーカーの名残を思わせる。壁には洒落た写真や黒板が飾られている。
まず最初に目に入った黒板に、私の大好きな聖書の一節が書いてあった。
コリント人への第一の手紙第13章に出てくる、「愛は寛容であり、愛は親切です・・・」という、結婚式でもよくつかわれる一節だ。店内の最も目立つところに掲げているということは、これが店のポリシーかな、と思った。愛情あふれるホスピタリティに期待が高まる。
お昼のメニューはこんな感じ。パン&バターが$2、エンジェルヘアーパスタが$3.9、サラダが$3.9、スープが$4.9、フォアグラのソテーが$7.9からと、とにかく破格値だ。
スタッフは総じて無駄な動きなく、満席の店内でも注文に比較的早く応じていた。若者だけでなくちょっと年配の方もいるところがホーカー出身の温かさか。スタッフたちが両手に皿を持ち、注文のメモを取る暇も手もないまま復誦して、カウンターに伝えていく。
あまりおなかがすいていなかったこともあり、スターターやサラダを中心に注文することにした。
まずはサラダ。
ポーション的に大きくはないが、これで$3.9である。さっぱりしたレモンビネグレットと鴨肉の相性を楽しむ。
そして思わずおかわりした$2のパン。ふわふわした触感が昔の給食パン(を格段に美味しくした)のようだ。バターも本物で(笑、これは間違いなく安い。一緒に注文した本日のスープ(マッシュルームスープ)とともにいただく。
これが噂のエンジェルヘアーパスタ、$3.9。前菜としてのポーションだが、桜エビとポークのトッピングと一緒だと、結構食べ応えはある。日本の洋風居酒屋で出てきそうなメニューだ。
そして、いよいよ真打登場!
フォアグラのポートワインとバニラで味付けしたリンゴ添え、$9.9なり。
う、うまい!
が、小さい!
二口で食べられる小ささだ。フォアグラ料理の相場が良く分からないのだが、これで$9.9はリーズナブルってことでいいんですよね、と確認したくなった。
他のお客さんは、フォアグラやエンジェルヘアーパスタをスターターに、鴨のコンフィやテンダーロインステーキなどをがっつりと食べていた。ランチコースがない分、色々アラカルトで注文していくと、最終的にはランチタイムでも$30位かそれを超える額になる。それでも全体的なお得感はあるし、私のようにスターターだけで終わらせる手もある。
英語に「ノーフリルズ」という言い回しがある。フリルのついていない、つまり簡素化されたという意味で、ビジネスホテルや格安航空会社などを説明するときに使う。サヴールもそういった意味ではノーフリルズであり、フレンチの雰囲気を心行くまで楽しみたい方は、対面のギュンターズに行くべきだ。しかし、ここはここで、シンガポールならではの温かみがある。先ほどの聖書の一節、「愛は自慢せず、高ぶらない」がしっくりとくるような雰囲気なのだ。
とりあえずこの混みようだと、今のところは話のネタで来れば十分。ディナータイムにワインを傾けつつ、スタッフの方たちと歓談に興じられる位落ち着けば・・・と思うのだが、この一等地に存在する限り、回転率を考えなければならないところが悩ましいところだ。
ごちそうさまでした!
Saveur
05 Purvis Street
6333 3121
http://www.saveur.sg |
さてお待ちかねのSaveurの正しい発音の仕方です。
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