2013年2月19日火曜日

【オマケ付!】春の足音を感じる元祖おまかせコース 八

モハメドサルタンの八(はち)はシンガポールに「OMAKASE」という言葉が定着する前からおまかせ料理を提供してきた、当地におけるおまかせの先駆者である。その時その時の旬の食材を、最も美味しい調理法で提供するというポリシーは、創業以来変わらない。ローカル客を中心として長年のファンが多いのもこの店の特長だ。




昨年の夏、米国や中国で寿司職人としてキャリアを積まれた山口シェフが、年明けには京都で会席料理を学ばれた向浦(むこうら)シェフが参加され、今は日本人シェフ2人体制になった。私自身、この店のオーナーと仲が良いことや、オフィスの眼と鼻の先にあることから、ちょくちょく遊びに行っている店である。




真ん中にいらしゃるのが山口さん、左端の方が向浦さん。ショップハウスにある店内は長いカウンター席とテーブル席、個室も備えられている。昼間は一部ガラスになっている天井から日光が差し込み、夜のまったり感とは違う爽やかさがある。

この夜は向浦さんが作ったおまかせディナーを初めていただいた。




長芋と霜降りしたほっき貝 ポン酢のジュレがけ
今流行っている低温調理「50度洗い」は、そもそもフレンチレストランなどで取り入れられていた調理法らしい。このほっき貝もお酒と水を割って沸かしたものを50度程に冷ました中にくぐらせることで、柔らかい触感が保てるのだそうだ。ほっき貝は北海道や東北を主産地とし12月~3月が旬。まさに今の食材だ。




きんぴらと梅パプリカのマリネ 鰯の梅煮 菜の花のからし酢味噌かけ
「東風(こち)吹かば匂ひをこせよ梅の花」とは、平安時代、讒訴(ざんそ)により太宰府に流された菅原道真が、都を思って歌った歌。道真さんも左遷先が現代のシンガポールだったら、東風ならぬクール便でいつでも京の旬の味覚を楽しめただろう。




ヒラメ、金目鯛、カンパチ、甘エビのおつくり
クルクルとリボンのような「より人参」は、桂剥きにした人参を斜めに切り、それを菜箸に巻きつけると「簡単にできる」らしいのだが、桂剥きも簡単にできない私は、おとなしく食べる側に徹したいと思う。




八の定番料理は、このオーストラリア産の大粒の牡蠣。トッピングは、エシャロットのみじん切りを入れた明太子マヨネーズとグリュイエールチーズ。軽く焼いてあるのが気づかないほどふんわりとした食感。




白子と菜の花、梅人参のお吸い物
梅は別名を「春告草(はるつげぐさ)」と言う。 まさに春を告げるようなお椀。白子は焼いて香ばしさを出し、梅の花に形取られた金時人参が、薄氷(うすごおり)大根の下から春が来る日を今か今かと待ちわびている。この薄氷大根は輪切りにした大根を炊いて冷まし、その後、一枚一枚、先が透けて見える程の薄さに切っていくそうだ。素人の私は「先にピーラーで切ってから炊いたら~」などと思ってしまう訳だが、そうすると炊いた時に波を打ってしまうそうだ。




甘鯛のかぶら蒸し
寒さの厳しい冬の京都で、体の芯から温まる定番料理といえばこのかぶら蒸しだそう。京都に何の縁もない私にとって初めての料理。美味しくてびっくりした。すりおろしたかぶのなかに、きくらげ、銀杏、ゆり根を混ぜ、それを甘鯛と一緒に蒸す。まろやかな銀あんをかけて、ピリッとわさびを。上に乗っているのは、甘鯛のうろこを上げたもの。この季節の甘鯛のうろこは美味しく、調理の際に剥いだ皮を一口大に切り、粉を付けてさっと揚げると、パッと花が咲いたような形になる。これがパリパリとして美味しい。うろこまで無駄なく食べられるなんて知らなかった。




雲丹とカンパチのお寿司
品の良い小ぶりのお寿司で、このコースのボリュームにはちょうどいい。




近江牛のサラダ仕立て
白味噌のドレッシングの上に、表面をグリルした近江牛を。上に乗っているのは明太子を詰めたししとう。ししとうは、柚子料理の回のブログで取り上げた柚子マーマレード入りでも美味しいかなと思った。




なまこ 土佐酢と大根おろしで
このなまこも固くなららないように50度の低温調理法で調理されており、大根おろしとともに喉越しよくいただいた。なまこは私にとっておふくろの味。小さい頃はスーパーの生け簀(というかバケツ)で見ても全然平気だったのが、物心ついた頃におっかなくなり、今はまた大好きな食べ物に。今度家に帰ったら母に料理の仕方を教えてもらわなければと思う。


八では、こんな感じで旬の味覚が次から次へと供される。通常のおまかせディナーは$118で、全部で9品から10品ほど。仕入れの内容によって大体2週間ごとにメニューが変わる。お昼のおまかせは$68で5品から7品。お昼は$38の松花堂弁当などアラカルトメニューもある。




今回のおまかせを担当された向浦シェフは30歳という若さながら、キャリアは既に12年。学校を卒業後、「和食を学びたい。和食なら京都に行きたい!」と、故郷の和歌山を離れキャリアを積まれてきた。「でもやっぱり母の作る料理がどんな料理よりも一番美味しい。」と言われ(諭され)、私も一応母だけにもう少しは料理ができるようになろうと思った夜であった・・・(笑。

さて、表題にある【オマケ付!】にあるとおり、両シェフに「きよみのブログを見た」と言うと、何か「オマケ」をもらえることにしていただいたので、今後八に行かれる方はぜひお忘れなく! 山口さん、向浦さん、宜しくお願いしま~す(^_^)/


おまかせのパイオニアでありながら日々進化を続ける八にこれからも期待します。


ごちそうさまでした!


Hachi Restaurant
6 Mohamed Sultan Road
TEL: 6734 9622
http://www.hachirestaurant.com


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