2013年1月24日木曜日

「野川」の流れを汲む名門寿司店で良心価格のランチをいただく 白石

シンガポールで「白石」と言えば、当国の本格寿司の基礎を築いた「野川」の流れを汲む名門寿司店。リッツカールトンシンガポールの1階の、言われないと見落としてしまいそうな通路の途中にある。隠れ家的でありながら、シンガポールの美食家なら誰もが知る店だ。




玄関で信楽焼の陽気な狸が出迎えてくれる。

信楽焼の狸は、徳や利を得る「徳利」や、災難を避ける「笠」など、8つの縁起「八相縁起」を表した縁起物として知られている。飲食店舗では、「タヌキ」が「他抜き=他を抜く」とも読めることから、商売繁盛の縁起担ぎとして玄関口に置かれることが多い。また肩あたりにちょこんと座っている信楽蛙も、「福帰る」と言われ同じく八相縁起を持った縁起物。

こういう縁起物を脇に店を入るのも気持ちの良いものだ。




店内に入るとカウンター席が。12名座れる長さ。他にテーブル席が10席、個室もある。カウンター席に座った。




白石の刻印が渋い湯呑み。熱いお茶を飲んでほっとしたところで、昼から冷たいビールをいただく。




大切な方とのランチだったためメニューを留めておく暇がなかったのだが、お通しはキャベツのおひたしだったかなと思う。




お寿司の前に天ぷらをオーダーした。当店の御主人の白石さんは、リージェントシンガポールで天ぷらのお店「天信」を運営しておられる。ここの天ぷらの美味しさも折り紙つきだ。

サクッと揚がった天ぷらの盛り合わせは$35。揚げたての香ばしさが口いっぱいに広がる。




ここのお昼のセットは、本格江戸前寿司でありながらリーズナブルなことで知られる。「江戸前スペシャル」は握り八種類と巻物、本日のお吸い物と水菓子がついて$40。

ところで、1月19日付のサンデータイムズ紙に「セレブシェフ行きつけのお店」特集が掲載されていた。Miele Guideが選ぶ2013年度のアジアトップレストラン2位を受賞したWaku Ghinの和久田シェフが「かつて食べたことのない最高の寿司」と絶賛し足繁く通うのがこの白石。




季節の寿司ネタは、築地市場から当店に週に3,4回空輸で届けられるそうだ。シンガポールの本格寿司店で扱われる食材は本場に勝るとも劣らぬ高品質で、それは「事前に輸出元が材料をかなり厳選しているため」と、あるシェフの方に聞いたことがある。そういったある種横一線で高品質の素材を使い他店を圧倒させるのが、シェフの腕の見せ所なんだなと思う。すべて美味しくいただいた。




粒の大きないくらの軍艦巻は、もちろん最後まで取っておいた。話は変わるが小学生の頃、お弁当で一番好きな唐揚げを最後まで取っておき、食べようとした瞬間、ふざけていたクラスメイトの肘が当たって、唐揚げが空中に放り出されたことがある。その時空中を飛ぶ唐揚げが、スローモーションに見えたことを思い出した。しかし、さすがに今回はそのようにふざけることもなく、最後の軍艦巻までありつけた。




しんじょうのお吸い物だったかなと思う。淡くて柔らかな風味が箸を休めるのにちょうどいい。




お寿司の後のお茶は、唐子がちょこんとついた湯呑みで。この湯呑みにある六角形の亀甲文様は、古代エジプト時代にも遡る世界最古の文様のひとつだという。

そして、最後にフルーツを。




久しぶりに正統派のメロンを食べた感じがした。同伴者も言っていたが、このランチコースのクオリティで$40はかなりの良心価格だ。

マリーナ地区の端っこのホテルの一角という決して最高とは言えないロケーションにありながら、ランチタイムの店内はあっという間に客で埋め尽くされた。夜も特上江戸前寿司が$70と、ちょっと奮発して食べに行ける値ごろ感が嬉しい(寿司会席コースは$135から)。食後は腹ごなしにマリーナベイサンズやエスプラネードのバーまで歩いて行ける。

日本から高級寿司店の出店が続くなか、こうやって地元発の店が第一線で活躍しているのは嬉しい限り。次回は頑張って寿司会席コースを食べに行きたいな。


ごちそうさまでした!


白石
7 Raffles Avenue, The Ritz-Carlton, #03-01/02, Millenia Singapore
TEL: 6338 3788
http://www.shiraishi.sg/


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