七山村は佐賀県と福岡県の県境にある緑と清流に恵まれた里山である。日本の滝百選に選ばれた観音の滝や九州有数の湿原植物が生息する樫原(かしばる)湿原があり、自然を求めて訪れる観光客やはるばる本州から移住してきた人もいる。ちなみに私の実家のある鏡の隣の「村」であり、その名の通り、かつては七つの村があったところを統合して七山村になった。つい最近まで「日本で唯一信号のない村」として知られていたところである。
七山には清流から獲れた美味しい鮎料理屋やこだわりの燻製屋など、ローカル組、移住組が相まってちょっとしたグルメスポットして知られる。そのなかでも人気の蕎麦屋、里味庵を訪れた。
もともとは教職に携わっていたご主人市丸さん。蕎麦好きが高じ、5年ほどの年月をかけて自分が納得できる蕎麦の種(里味の香り)を開発した。福岡や宮崎の契約農家にこの栽培を委託し、ここで獲れた蕎麦とさらに山形や北海道などから買い付けた蕎麦を自家製粉しブレンドして打っているこだわりの十割蕎麦屋である。道中に看板がないので不安になりつつも、古い一軒家の店にたどりついた。
店先にはかわいらしい蕎麦の花が。
そもそも私の生まれた九州は、蕎麦焼酎はあっても蕎麦を食べる習慣がない。今でさえ日本国中の食文化が入ってきてはいるが、私も大学で上京してからやっと蕎麦を食べるようになったくらいだ。そもそも蕎麦湯や蕎麦がきなんてものも知らなかった。
そんな九州の唐津界隈でちょっとした異変、というか蕎麦ブームが起きている。相知(おうち)の蕎麦屋「山法師」や、数年先まで予約で一杯の七山の「遊心庵」(ここのご主人はなんと元オートレーサー!)など、ここも、あそこも、といった具合。しかしどちらかというとまだまだ観光客中心の商売なのではないかと思う。
平日の昼だというのに、店内はビジネスランチ客や奥様グループで賑わっていた。縁側の席が空いたので、母と陣取る。店の奥には客が自由に見学できる蕎麦打ち部屋があった。頑固そうに見えて実はとても気さくなご主人も快く写真撮影に応じてくれた。
細かく製粉された粉の分量を丁寧に量る。
蕎麦を捏ねる器から余計な粉を払い、量った粉を入れる。
水を加えて捏ねていく。 七山は美味しい水でも有名。
あっという間に捏ねあがり、いよいよ生地を伸ばしていく。
少しの水しか使っていないのに、このなめらかさ。私が捏ねたらこの時点で亀裂だらけでしょう。
「うわ~すごか~」と感動する私に、「そがん誰でも切れるとよ」とご主人。いえいえ、私は切れません。ご主人は蕎麦道場も開催しており、会員になれば蕎麦打ちを教えてくださるとのこと。
蕎麦は注文後に打つ。蕎麦打ちにかける時間もものの数分。客はとびきり新鮮な蕎麦の風味と香りを十分に堪能することができるという訳だ。
蕎麦を美味しく食べるために作られた木の器。里山を見ながらいただく。ここでは3つの食べ方が楽しめる。まずは何もつけずに食べる。つるつるっとした喉越し、蕎麦本来の風味と香ばしさが口いっぱいに広がり、これだけで十分美味しい。次に特製の薄口醤油。本当に薄口で色も淡い琥珀色といった感じ。これを蕎麦に垂らして食べる。塩味が効いているので、ほんのちょっと垂らすだけでまろやかな塩味の蕎麦を楽しめる。そして最後に麺つゆで。ワサビとネギを入れて、まさに王道の味。
お茶はもちろん蕎麦茶。蕎麦湯も美味い。そして、この蕎麦がき。
「もっちもちのぷっちぷち」なのである。これを平らげると、本当におなかがいっぱいになる。本来はこの後蕎麦ぜんざいを食べるつもりだったが、胃袋にまったく入る余地がない。残念だが、次回のお楽しみにとっておこう。
ここでは蕎麦道場のほかに、 蕎麦の通信販売を行っている。また蕎麦会席や宴会にも事前予約で対応しているとのこと。次回は蕎麦焼酎でも酌み交わしましょうか、ご主人!
唐津に帰る楽しみがまたひとつ.
ごちそうさまでした!
里味庵
佐賀県唐津市七山白木414-1
0955-58-2261
http://www.satomian.com
七山には清流から獲れた美味しい鮎料理屋やこだわりの燻製屋など、ローカル組、移住組が相まってちょっとしたグルメスポットして知られる。そのなかでも人気の蕎麦屋、里味庵を訪れた。
もともとは教職に携わっていたご主人市丸さん。蕎麦好きが高じ、5年ほどの年月をかけて自分が納得できる蕎麦の種(里味の香り)を開発した。福岡や宮崎の契約農家にこの栽培を委託し、ここで獲れた蕎麦とさらに山形や北海道などから買い付けた蕎麦を自家製粉しブレンドして打っているこだわりの十割蕎麦屋である。道中に看板がないので不安になりつつも、古い一軒家の店にたどりついた。
店先にはかわいらしい蕎麦の花が。
そもそも私の生まれた九州は、蕎麦焼酎はあっても蕎麦を食べる習慣がない。今でさえ日本国中の食文化が入ってきてはいるが、私も大学で上京してからやっと蕎麦を食べるようになったくらいだ。そもそも蕎麦湯や蕎麦がきなんてものも知らなかった。
そんな九州の唐津界隈でちょっとした異変、というか蕎麦ブームが起きている。相知(おうち)の蕎麦屋「山法師」や、数年先まで予約で一杯の七山の「遊心庵」(ここのご主人はなんと元オートレーサー!)など、ここも、あそこも、といった具合。しかしどちらかというとまだまだ観光客中心の商売なのではないかと思う。
平日の昼だというのに、店内はビジネスランチ客や奥様グループで賑わっていた。縁側の席が空いたので、母と陣取る。店の奥には客が自由に見学できる蕎麦打ち部屋があった。頑固そうに見えて実はとても気さくなご主人も快く写真撮影に応じてくれた。
細かく製粉された粉の分量を丁寧に量る。
蕎麦を捏ねる器から余計な粉を払い、量った粉を入れる。
水を加えて捏ねていく。 七山は美味しい水でも有名。
あっという間に捏ねあがり、いよいよ生地を伸ばしていく。
少しの水しか使っていないのに、このなめらかさ。私が捏ねたらこの時点で亀裂だらけでしょう。
「うわ~すごか~」と感動する私に、「そがん誰でも切れるとよ」とご主人。いえいえ、私は切れません。ご主人は蕎麦道場も開催しており、会員になれば蕎麦打ちを教えてくださるとのこと。
蕎麦を美味しく食べるために作られた木の器。里山を見ながらいただく。ここでは3つの食べ方が楽しめる。まずは何もつけずに食べる。つるつるっとした喉越し、蕎麦本来の風味と香ばしさが口いっぱいに広がり、これだけで十分美味しい。次に特製の薄口醤油。本当に薄口で色も淡い琥珀色といった感じ。これを蕎麦に垂らして食べる。塩味が効いているので、ほんのちょっと垂らすだけでまろやかな塩味の蕎麦を楽しめる。そして最後に麺つゆで。ワサビとネギを入れて、まさに王道の味。
お茶はもちろん蕎麦茶。蕎麦湯も美味い。そして、この蕎麦がき。
「もっちもちのぷっちぷち」なのである。これを平らげると、本当におなかがいっぱいになる。本来はこの後蕎麦ぜんざいを食べるつもりだったが、胃袋にまったく入る余地がない。残念だが、次回のお楽しみにとっておこう。
ここでは蕎麦道場のほかに、 蕎麦の通信販売を行っている。また蕎麦会席や宴会にも事前予約で対応しているとのこと。次回は蕎麦焼酎でも酌み交わしましょうか、ご主人!
唐津に帰る楽しみがまたひとつ.
ごちそうさまでした!
里味庵
佐賀県唐津市七山白木414-1
0955-58-2261
http://www.satomian.com
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