サーキュラーロード界隈で最近人気の「日本食」といえば、「Ramen Bar Suzuki」とこの「べねスパゲッティ」である。
フラトンホテルで用事を済ませた後、てくてくと川沿いを歩いて10分弱。日本に来たかと見まごうような店構えの当店に到着。
店内に入り威勢のいい「いらっしゃいませ~」とともに席に通されると、パリッパリに凍ったおしぼりを渡された。
広げられた真四角のおしぼりが、板のように凍っている! 片手でつまんでも、立っている! 予期せぬ状況にどぎまぎしていると、ローカルスタッフが、「外は暑いですから。顔を拭いてもいいですよ」と笑顔で語りかけてきた。確かに、これを顔にかぶせたらさぞ・・・、という衝動に駆られる。
べねスパゲッティは、大阪で複数のイタリア風居酒屋チェーンを展開する株式会社いっしょうけんめいのシンガポール初進出店。トリベーネ、アジベーネ、イソベーネというふうに、日本語とイタリア語の「ベーネ(良い)」をかけ合わせたユニークな店名で知られ、現在は広島、福岡と西日本にじわじわ拡大中である。
クスクス鍋を使った創作イタリアン・べねスパゲッティの一号店は、今年2月阿倍野にオープンしたばかり。その4か月後にはシンガポールに2号店という素早さ。同社のウェブサイトに掲載されていた「事業計画書」を見ると、2010年12月のハワイ・ワイキキ店オープンを皮切りに、2015年10月までに海外に23店舗を展開する目論見らしい。ワイキキには計4店をオープン予定らしく、同社(経営者?)のハワイへの熱い思い入れが感じられる。しかしウェブサイト情報を見る限り、シンガポールが同社の海外初進出先のようである。
ともかく、当店シグニチャー・蒸しパスタのセットランチをオーダーした。注文と同時に威勢の良い声が、店内そして厨房から聞こえてくる。日本の飲食チェーン店気分満載だ。ほどなくして来たのがこのセット。
さてこのタイマーは何でしょう。
「タイマーが鳴ったら蓋を開けますからそれまで待っていてくださいね」。 「えっ? はい」
テーブルに出されてから5分後にこのタイマーがジリリリ・・・と鳴る。ジリリリと鳴ったら食べ物にありつける、ちょっとした「パブロフの犬」気分だ。
ベルが鳴ると、スタッフがやってきて蓋を開けてくれる。赤いトマトパスタソースが中に。その上に素焼きの皿が2枚乗っており、片方には具材、もう片方にはリングイネを少し平べったくしたようなパスタが。
スタッフが麺をソースを絡め、胡椒をかけて出来上がり。
パスタは蒸しただけあってもちっとした食感。 具材も素材本来の美味しさが伝わる味だ。トマトソースはまろやかで、油控えめの健康的なスープパスタといった雰囲気。子供はこれだけで喜びそうなのだが、酸いも甘いも噛み分けた(笑)大人にとっては若干パンチが足りない。ローカル客なら絶対的にチリが欲しくなる。これを胡椒やチーズで自分好みに味付けてください、ということなのかもしれないが。
ランチを食べ終え、せっかくなのでシグニチャーをもう一品。べね壺プリン。
タイマー付きでやってきた。 カラメルが程よく溶けるまで待ってから食べるということらしい。
タイマーが鳴り、まずプリンの容器に触れてみる。縁から下がほんわかと温かく、下に行くにつれて冷たい。スプーンでカラメルを割ると、表面が少し融けているのが分かる。パリパリのカラメルと混ぜながら食べたプリンは濃厚で私好み。残念だったのは、底に行くにつれて少し冷凍状態になっていたこと。私の食べるペースが速すぎたのかもしれない。
パスタは胡椒を大目に振る、プリンは時間をかけて食べる、という攻略法が分かった時点で、ここは定期的に行きたくなる店との結論に達した。なぜならこれは、「マンマの味」ではなく「おかあちゃんの味」。初めて食べた味なのに、「幼い頃街角の洋食屋で家族ひざを突き合わせて食べた」ような錯覚に陥るのである。こういうノスタルジックな感覚に私たち大人は弱い。パブロフの犬のように、想像しただけでいてもたってもいられなくなるのである。
そんな気持ちが分かる年代の友人たちと、近いうちにまた訪れたいと思う。
ごちそうさまでした!
べねスパゲッティ
83 Circular Road
TEL:6536 1726
http://www.bene-p.jp/shop/sin/index.html
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